ブラック・スワン

ブラック・スワン [Blu-ray]

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(※ぼんやりネタバレあり)
土曜は「ブラック・スワン」をレンタルで見たんだけど
映画本編を見たあとに聞いたシネマハスラーの「ブラック・スワン」評
http://www.tbsradio.jp/utamaru/2011/05/post_859.html)がすごく良かった。
宇多丸氏はこの作品の世界観をなんと楳図かずおの漫画に例えていた。
楳図かずお漫画の根底に流れる一貫したテーマを
「人は主観という名の牢獄に囚われた絶対的に孤独な存在である」ことだと分析した上で
ブラック・スワンにおけるテーマにもこれが当てはまると評してみせた

この映画の概要をざっくり言ってしまうと、精神を病んでいく人間の
心の内を映像化した作品ということになるだろう
実際にはこの映画の主人公ほど妄想と現実が入り乱れる錯乱状態は
統合失調症かドラッグでしかあり得ないと思うけど
先に述べた楳図かずおのテーマに関しては万人が抱える問題だ。
人は主観の呪縛から永遠に逃れることはできない
その絶望的な現実を前にした可憐なバレリーナの苦悩を見事に描き切っていたと思う
おもしろかった。

ところでぼく、今回みたいに映画を見たらすぐにシネマハスラーでその作品の批評を聞く
という流れがすっかり定着してしまっていて、今では見る映画を選ぶ際には
まずハスラーでその映画が取り上げられているかどうかを確認する習慣までついてしまった。
この土日に「ブラック・スワン」以外でぼくが見た映画
「レスラー」、「十三人の刺客」、「シークレット・サンシャイン」、「ラ・ブーム」・・
と最後以外はどれも宇多丸氏がハスラーで取り上げ、かつ高い評価を与えたものである。
宇多丸氏の批評は面白いし勉強になる。映画評論家を名乗るに相応しい知識を持っているし、
指摘するポイントも的確で感覚も信用できる。
「モテキ」とか「ステキな金縛り」とか、あれどこがダメやったん?って思うときもあるけど
彼の意見にそこそこ振り回されている自分がいることに居心地の悪さを感じつつ
それでも僕はしばらくこの嗜みを繰り返すんだろうな